14)Lisbon リスボンのアパートメント
14)リスボンFADO修行の旅で私が今回滞在しているのはホテルではなく、アパートです。
アパートといっても本当に住むアパートというより、アパートスタイルのホテルという方が正しいかもしれません。
フロントも何も無いので、自分で鍵をあけて荷物を運び入れなければなりませんが、フロントの人件費を節約する分、安い値段で泊まる事ができます。
洗濯機や調理器具も一通り揃っていますので、長期滞在ももちろん出来ます。
このアパートはバイロアルトというリスボンで一番夜賑やかな地区の真ん中に有ります。
賑やかといっても、日本の巨大な繁華街に比べたらその規模は千分の一位しか有りません。
10分も有れば一周出来てしまうような、地元の人達が集うファドハウスやバー等がちょこちょこ固まっているという地区です。
しかし!
そう思って油断してはいけません。
この町の夜の騒音たるやものすごい物があります。
車も入れない路地ばかりですので、全て人間が発する騒音です。
初日の夜にこの洗礼を受けた私の衝撃をお伝え出来ないのが本当に残念です。
例えて言うなら、サッカースタジアムでイギリスの応援団(フーリガン)に囲まれたアウェイのチームのファンの気分。
酒場から道路にはみ出した人達が、普通に会話するのではなくて叫んでいるんです。
その奇声が石畳の路地に響き渡ります。
この人達、この騒ぎを夜中の3時半まで、6時間も続けたんですよ〜!
私の部屋は4階なんですが、この階でびっくりするような音量ですから下の階の人達は気の毒です。
私ももうちょっと元気なら様子を観に行って仲間に加わったりしてもいいかなと思うのですが(嘘です)、旅の疲れと初日のレッスン前の緊張でそれどころではありませんでした。外の騒音をよそに爆睡して、変な時間に何回も目が覚めました。
この変な時差ぼけは、リスボン6日目の今も直っていなくて、夕方早くに眠くなって、夜中の3時頃目が覚めるという状態が続いています。
先程も書いたように私の部屋は4階なのですが、これはこの建物の最上階、つまり屋根裏にあたります。
ポルトガル語で屋根裏とは「agua -furtada」アグァフルターダと言います。
これはFADOの歌詞にも出て来ますので、覚えておいて下さいね。
でも、私が滞在しているこの部屋は屋根裏といってもとても広々していて快適です!
窓の外を見れば、家々のオレンジ色の瓦が波打っている様子も間近に見え、リスボンの空を悠々と飛行しているカモメや、煙突の先端で休む鳩などもすぐ傍に見えます。
今日はこんな贅沢な環境で、昨夜リスボンに到着したばかりのギターの蓮見さんと音合わせしました。
傾斜の天井に自然のエコーがかかりまるで夜ファドハウスに出演しているかのように自分たちの音がいい感じに響きます。
そして窓の外にはリスボンの青い空!
もうまさにFADOの為の環境です。
部屋の中はこんな感じでかなりモダンです。
今日の練習は明日のポルトガル人ギタリストとのリハーサルに向けての私達二人の確認という感じでした。
明日はいよいよポルトガルギターのギタリストと、初の音合わせです!