57)貸し切りファド Noite de Fado
57)リスボンに来てカーサデファドに行かない、、、?
それは旅行に行った先でグルメ三昧しているのに最強のご当地B級グルメを味わわないのと同じ事です。
リスボンのファドは庶民の音楽です。
今回の旅で私は確信しました。
リスボンのカーサデファド(ファドを聞かせるレストラン)にもいろいろあって、観光客が団体で押し寄せるような店はお金儲けと割り切っている所が多いようです。
ダンス有り、お笑い有り、ファド+αでごちゃごちゃと盛り上げるので純粋にファドを楽しみたいと思って行くともしかしたらがっかりするかもしれません。。
でも、なんというかその割り切り方もポルトガル人のそれはあまりえげつないものでは無く、なんだか「それはそれだよね」と許せるような空気があります。
しつこい客引きも殆ど有りませんし、店の中で観光客向けのショウをやっていようと、マニア向けのファドをやっていようと、それぞれだからいいんじゃない?という気にさせられます。
さて、私はおかげさまで自分もファドを歌いますので、少しは見分けがつきます。
今回はショウupされたものはスルーして、本当の「場末のファド」を見ようと決めていました。
そもそもファドは、ここのブログでも何度かふれていますが、安宿や酒場の女などが歌った歌から始まったといわれています。
人間の一番生臭い部分から始まった音楽です。
なんと魅力的な!
綺麗事ではない、リアリティの有る音楽です。
私はそのような音楽が大好きです。
さて、そんな私がリスボンに来て最初に選んだお店はアルファマの路地の奥に有る小さな小さなお店「FADO Maior」です。
私が行ったとき、7時半ぐらいだったと思うのですが、このお店にはお客は居ませんでした。
「FADO?」と聞くと「うん」というような返事が返ってきたのでその店に入りました。
しかし、私は一人です。
この後にグループが入ってくるかもしれないので、お店はガラガラなのに端っこのファディスタが休憩するテーブルに座らされました。
少し待っていると、若い女のファディスタが入って来て4曲歌います。
「おお!私も練習しているあの曲を、彼女はこういうふうに歌うのか、、、!」
力強く、メロディと取っ組み合うように歌うその歌声。。歌い終わった彼女に「あなたのさっきのFADO、すごかったわ。勉強になった」といったら怪訝な顔をされました、、、。笑
気がつけば端っこの席からすっかり身を乗り出して聴き入っている私。
なんだかんだと男性2名、女性2名
4人のファディスタがその一晩に歌いに来ました。
彼らもお客が私が一人で、しかも東洋人の変な女が一人????
すご〜〜くやりにくそう。笑
でも、勿論彼らは真剣に歌いましたよ!
どの歌手もストリート(下町)で歌い、その歌声で相手をねじ伏せるような闘争心の有る歌。
そんな力強い歌手ばかりでした。
歌声を武器に相手をねじ伏せるなんて、自分は全く思いもしなかった事ですが、庶民派のファド歌手の世界ではそれが日常。
きっと仕事の奪い合いもあるでしょう。
そんな厳しさが伝わってくるようにファディスタ達は歌で攻撃して来ます。
「どうだい?」
「あんた、あたしみたいな声なんか出ないだろ?」
「さっさと引っ込んでママに抱っこしてもらいな」
というような格好いい心の声が歌声の後ろから聞こえて来ます。
ロックな感じ!
今回の旅の最初のファドとしてはなかなか面白いんじゃない?
今迄はわりとテレビ向けの上品なファドとか、観光客向けのファドしか見た事が無かったので、本当に勉強になります。
歌が終わると歌手達は自分のCDを持って売りに来ます。
私は自分の目の前に座っている歌手達のCDを勿論買いましたよ。
私がCDを買うと、彼らは嬉しそうにすぐにパッケージを破って中のジャケットにサインします。
このサインもパターンが決まっているみたいで、CDのジャケットになっている紙の中は白紙になっていて、そこにメッセージやサインが書けるようになっています。
こういうCDこそ貴重です。
Amazonでも買えません。
私は今回、このレアなCDを沢山ゲットしました。
そうは言っても、女一人旅。
あまり遅く迄調子にのっているわけにもいかないので、早々に引き上げました。
だって、まだ旅の1日目。
しかし、1日目にしてファドの神髄の端の端の端の方を覗いた気がしました。
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