『FADOの有る生活 A vida com Fado』  ポルトガル音楽ファドを愛する私のブログ Eu sou uma cantora japonesa cantar fado.      Fado修行の日々や地中海地方の文化についても綴っていきます

ポルトガルの #FADO(ファド)を歌う渡辺エマのブログです。FADOやポルトガルについて紹介します。ポルトガルには他にもワインや料理、世界遺産等魅力が一杯!サッカーのロナウドの故郷でも有ります。

4)ファドの女王 「アマリア ロドリゲス」#1

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4)日本で一番(たぶん世界でも)有名なファド歌手はアマリア ロドリゲスであると言っても過言ではないでしょう。
彼女はポルトガルのみに留まらず、世界中でその歌声を披露してFADOという音楽を広めた功績者でもあります。
日本にも1970年の大阪万博の時に初来日してから、1976,1986,1988,1990、1993年と、何度も来日しています。
彼女が日本で有名になったきっかけは「過去をもつ愛情」という映画に出演し、その歌がヒットした事でしょう。
映画はフランス映画ですが物語の舞台がリスボンで、 フランソワーズ・アルヌール演じる主人公のフランス人未亡人が立ち寄る酒場で歌っている歌姫としてアマリアが登場するのです。その曲「Barco Negro」は原曲がブラジルの音楽でファドではありませんが、ファド風の歌詞がつけられ劇中のリスボンの風景とともにファドのイメージとして世界的に認知されたようです。
この曲は私もレパートリーの中でも好きな歌で、最近では少しオリジナルアレンジを加えたりして大切に歌っています。
タイトルの「BarcoNegro」は直訳すると「黒い小舟」ですが邦題は「暗いはしけ」となっています。

以下、辞書を引き引き訳詞してみました。


「BarcoNegro」

朝 私が醜く見えるのではないかと恐かった
私は砂の上で震えて目覚めた
でもすぐに貴方の目が「そんな事はない」と言ってくれた
だから私の心に太陽の光が射し込んだ

岩と十字架が見えた
そして貴方の乗った黒い小舟がきらきら光る波にもまれて
貴方が手をふっていた
渦巻く帆の間で
浜の老女達は言う
貴方はもう帰って来ないと
なんて愚かな!なんて愚かな!

私は知っている 恋しい人よ
貴方は私から離れて行ってしまったのではないことを
だって私の周囲の全てが
貴方はいつも私と一緒に居ると言っているのだから

窓に砂が吹き付けるような風の中で
海の水が歌うように荒れ狂う中で
消えかけたランプの火の中で
貴方の場所が空いている温かいベッドの中で
私の心はいつも貴方と一緒なの




THE ART OF AMÁLIA (Part 8 - Barco Negro, 1955) - YouTube

なんて切ない歌詞なんだろう。
ポルトガルリスボンは歴史的にも、地理的にも海につながる土地として特別な場所でした。ですから海に出て行く男性を見送る事はよく有る事だったでしょう。
という事は、大切な人を海に失う事も多かった土地だったという事です。
この歌を歌うとき私の心は
水平線にポツリとでも船のような影が見えはしないかと一日中海の見える場所に座って恋人の帰りを待つ女性の心と同化して、或る意味でとても歌うのが辛い曲でもあります。
アマリアの歌はどうでしょうか?
歌詞の部分ではないけれど、歌中で「AH〜〜〜」とビブラートで歌い上げる部分は私には彼女の心の中の悲鳴の様に聞こえます。

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