22) 待ち合わせは市場で!
カモンイス広場
22)シントラとカスカイスへの日帰り旅行を終えてアパートに戻った時はまだ夕方6時頃でした。
今夜のギイダ先生との8時の待ち合わせまで少し時間が有りましたが、ゆっくりもしていられません。
私は冷たいビールを冷蔵庫から出して一口飲んでから、明日帰国するための荷造りを始めました。
<荷造り>
ポルトガルに来る時に私のスーツケースの70%は、先生やTiagoさんへのお土産が占めていましたので帰りは余裕!のはずだったのですが。。
おかしな事にスーツケースは少しも空いていません。
本当に不思議です
お土産は全部渡してしまいましたし、この旅では買い物に行く余裕も殆ど有りませんでしたから、こちらで購入したものといえば、マグカップ1個とCD数枚、ファドのポスター2枚にチョコレートが少し。それだけです。
なのにスーツケースはギュウギュウのまま!
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「誰か入ってるんじゃないか」とバカな事を考えたくなる程満杯なのです。
さらに蓮見氏から「先に日本に帰るならこれ持って帰ってくれない?」と渡された録音用エフェクターやマイク等の機材が結構な大きさと重さです。
これらの機材を入れるスペースを作らなければなりません。
使いかけのシャンプーや、使い切れなかった日本茶のティーバッグ等を全部捨てましたが殆ど何も変わりません。
仕方がないので、録音用に持って来ていて結局使わなかった卓上用マイクスタンド2つを置いて行くことにしました。
日本を発つ前に通販で間に合わせに買ったスタンドですからあまり良い物ではありませんが、今頃誰かが帽子掛けか洗濯物干にでも活用していてくれたら嬉しいです。あはは
旅に出ると何故かいつもこの様な事になるのです。
そう、前回ポルトガルに来た時は靴を捨てて帰りましたっけ。
そうこうしているうちにいい時間になりました。
私達はアパートを出て、いつも通っていたリカルドの店の角を曲がり、カモンイス広場からタクシーを拾いました
。
<市場の夜>
目指す場所はオウリケ市場です。
先生は何故待ち合わせに市場なんか指定したのでしょうか?
しかも、夜8時に市場なんて開いてるんでしょうか?
腑に落ちなかったのですが、先生のおっしゃった通りの名前を運転手さんに告げると、よく知っている場所だったらしくすぐに車は走り出しました。
起伏の激しい石畳の道をタクシーは走り抜けます。
この道は路面電車の線路も有って、車と路面電車がギリギリの間隔で急坂を昇ったり降りたり、最もリスボンらしい光景が味わえる道です。
photo by A. Hasumi
10日前に初めて先生のお宅を一人で訪ねた時もこの道を通りました。
ちょっと緊張して眺めたあの時の景色と同じ景色ですが、今ではもうずっと遠い昔のように思えます。
5分程でタクシーはスーパーの裏口のようなところまで来て私達を降ろしました。
中に入ると確かに昼間は市場だったようで、野菜や乾物を売る店が並んでいましたが、それらの店は商品棚にカバーをかけてもう店終いしていました。
しかし!
市場の奥をよく見ると、シャンペンの専門店だったり、生ハム専門店だったり、寿司バーだったり、カクテル専門店にオイスターバー、ステーキ、パスタ専門店、冷製総菜専門店、鰯の缶詰専門店まで、とびきりおしゃれな飲食店が固まっているエリアが中央に有り、天井の高い吹き抜け部分にはテーブルと椅子が沢山並んでいて、沢山の人が夕食を楽しんでいます。
所謂「市場」に来たつもりだったので、もっと生臭い所をイメージしていたのですが、完全に裏切られました。
ポルトガルの市場は素晴らしいです。
後で知ったのですが、この市場の中にはDJブースも有るそうです。
週末等はクラブのように盛り上がるのかもしれませんね!
そう思って調べたら、youtubeに動画を発見しました。
残念な事に、午後遅くにカスカイスで昼食をとっていたので殆どお腹が空いていません。
「何も食べられないね、、、」
寿司バーの前で食べる事の出来そうも無いマグロのタタキをみつめていると、すぐに先生ご夫婦がいらっしゃいました。
先生のご主人は見上げる程背が高い方で、ご挨拶をしますと「自分は昔日本に住んでいた事が有るよ」と、私達が日本人である事を喜ぶ様におっしゃいました。
そして、先生から大事な大事なレコーディングデータの入ったUSBを受け取りました。
先生はこのメモリーを私達に渡す為に、今日もセトゥーバルのフィリップさんのスタジオまで車で往復して貰って来てくださっているのです。
沢山の方のおかげで、ここポルトガル迄来て念願のポルトガルギタリストとレコーディング出来ました。
本当に有り難い事です。
日本に帰ったら、絶対に妥協しないでミキシングを頑張らなければ!
photo A.Hasumi
吹き抜けの下のテーブルに席を見つけると、ギイダ先生がご馳走してくださった綺麗なジンベースの飲み物で乾杯をしました。
中に入っているのは苺とバジルの葉とレッドペッパーです♪
4人で英語イタリア語ドイツ語ポルトガル語日本語フランス語(ご主人はフランスの方です)をごちゃ混ぜにして会話を楽しみました。
ふふふ、なんとかなっちゃうものですね!(なんとかなったと思っているのは私だけかもしれませんが、、、)
結構話も弾んで、今回のレコーディングの事から、日本にはほんの数人しかポルトガルギターを弾く人が居ない事、昔のボンドガールに日本人が居た事、ギイダ先生が活動の拠点にしていたロンドンの今のグルメ事情とか、蓮見さんの最近のハイレゾ配信の事などあれこれ沢山のお話をしました。
そして飲み物も無くなった頃我々がお暇を告げますと、ギイダ先生ご夫妻の車でカモンイス広場まで送って下さると優しいお言葉が!
ああ、益々別れが辛くなってしまいます。
<驚愕のクラシックカーミュージアム>
しんみりとした気持ちで先生の車が停めてある駐車場まで行くと、ご主人が嬉しそうにこちらを見て「此処はミュージアムなんだよ」とおっしゃいます。
???
そして、何故か先生のベンツの前を素通りしてどんどん奥に歩いて行きます。
あらら!よく見てみれば辺り一面クラシックカーだらけ!
それも鍵などかけていないので、内部の革張りのアンティークなシートや優美な細身のハンドルなどを、ドアを開けて見せてくれます。‼️⁉️
写真にはとりきれませんでしたが、この他にもまだまだこの10倍以上のクラシックカーがズラリと並んでいたのです。
先生のお話によると、これらの車は全て94歳の1人のオーナーの所有しているものだそうです。
しかし、、、そんな貴重なコレクションが鍵もかけずに並べてあるとは、リラックスし過ぎじゃないですか〜??
日本では考えられないですよね!
居心地の良い市場。
あくまでもさりげなく置かれた優雅なクラシックカーコレクション。
昼間のシントラやカスカイスの旅行で味わったゆったりとした時間も含めて、今日一日でこの国の豊かさをこれでもかと見せつけられた気がします。
ポルトガルは奥が深いです。
勿論、ますますこの国が好きになりましたよ!
すっかり驚いたまま、さっきタクシーで来た道を今度は先生の車で戻ります。
カモンイス広場で先生とお別れする時は流石に色々な気持ちが込み上げてきました。
また会えますように!
先生の車を見送りながらそう思いました。
さあ、あとは荷造りの続きです。
次回は旅のまとめのあれこれについて書こうと思います