『FADOの有る生活 A vida com Fado』  ポルトガル音楽ファドを愛する私のブログ Eu sou uma cantora japonesa cantar fado.      Fado修行の日々や地中海地方の文化についても綴っていきます

ポルトガルの #FADO(ファド)を歌う渡辺エマのブログです。FADOやポルトガルについて紹介します。ポルトガルには他にもワインや料理、世界遺産等魅力が一杯!サッカーのロナウドの故郷でも有ります。

21) ポルトガルで唯一の?休日

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21)レコーディングの翌日は私達のポルトガル最終日。
明朝には私は日本へ蓮見氏はドイツへと、この地を後にしなければなりません。
この日は、<スタジオでレコーディングしたデータを、夜8時にギイダ先生から受け取る>という約束が有るだけでした。

つまり殆どフリーだ!という事で、朝早く、首からカメラを下げた蓮見氏にくっついてアパートを出てロシオ駅に向かいました。
このロシオ駅から電車で西へ50分程のSintraという、山の中の王家の避暑地まで行ってみるためです。

 

 1 シントラ(Sintra)へ

 

ロシオ駅でまずViva viagemというプリペイドカードのような物を購入しました。
蓮見氏が地球の歩き方を見て、bilhete Train & bus という文字通り「バスも電車も乗り放題」12ユーロという切符を見つけていたので、二人で窓口の列に並んだのですが、何故かViva vigagemという切符になりました。
一人15ユーロ程しましたが、これも一日電車もバスも乗り放題でしたので大正解でした。

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わりと(かなり)「撮り鉄」な蓮見氏

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Sintoraの駅には、アンティークな駅舎のホームの真ん中に自動改札が設置されています。
すっきりしたデザインの改札です。

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駅前にはカスカイス方面へのバス乗り場と、何軒かのバルのようなお店が有る程度で、他には何も有りませんが、ボランティアのガイドさんが何人も地図を片手に立っていました。
そう、このシントラはその文化的な「景観」が世界遺産になっているのです。
駅には沢山の観光客が居ました。
皆ここからさらに20分程坂道を登って王宮やムーアの城趾、ペナ宮殿などを目指します。
この日は少し薄曇りで、山の上のムーアの城趾(7世紀頃にムーア人が築いたそうです)は下からはあまり良く見えませんでした。

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それでも町の中に入って行くとさすが「文化的景観の世界遺産」です。
立ち並ぶレストランや土産物店、ホテル等が美しく調和して、何処を見ても絵はがきのようでした。

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町の中心に位置する王宮には沢山の人が入場を待って並んでいましたので、我々はさらに先に進みペナ宮殿を目指すバスに乗りました。
このバスはシントラの文化的地区を循環しています。
このバスにもさっきのViva viagemパスで乗る事が出来ます。

バスで急な山道を昇って昇って昇ってペナ宮殿までは10分ちょっとでしょうか。
歩いたら1時間はかかると思います。

宮殿の入り口でバスを降り、宮殿の入場券と、入り口から宮殿までの往復のシャトルバスの切符を買いました。
そう、ここからまたさらに山の上の方に上っ所に宮殿はあるのです。
初夏の陽気だったリスボンから比べるとずいぶん標高の高い場所に昇って来たので気温も低く、少し肌寒いくらいです。

ガイドブックによるとこの「ペナ宮殿」は、あのドイツの「ノイシュバンシュタイン城」を建てたルードヴィッヒ2世の従兄弟、フェルディナンド2世が1885年に建てたものだそうです。

 

ノイシュバンシュタイン城

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ドイツの「ノイシュバンシュタイン城」はディズニーランドのシンデレラ城のモデルになった事で有名ですが、その美しく白い外観とは裏腹に、内部はとても奇妙なお城です。
ルードヴィッヒ2世の特異な(精神を病んでいたという説もあります)人格が反映され、魔法の世界に入ったような不思議で現実感の無いお城です。

その従兄弟が作ったというペナ宮殿です。
面白そうな予感がします。

バスを降りるとすぐにカラフルなお城が目に飛び込んできました。

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霧が出て来ました。
演出効果はバッチリ!幻想的です。

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やはり期待通り、面白いお城です。
魔法で建てたお城みたいな奇妙な雰囲気なんです。。
トランプの兵隊さんは居ませんが不思議の国のアリスのお城みたいなデタラメな感じと表現すれば伝わるでしょうか。

それもそのはず、このお城にはイスラムルネッサンス、ゴシック、マヌエル等の様式がごちゃ混ぜになって存在しているのです。
それもかなり適当にくっつけた感じです。

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パリのヴェルサイユ宮殿や日本の江戸城等、「城」と呼ばれる歴史的建造物には、当時の技術者が人生をかけて作った気迫みたいなものを感じますが、ここにはあまりそういった必死さは感じられません。
感じるとしたら「リラックス感」でしょうか。

ここは王族の夏の住居として使われたという事ですので、この遊び感覚たっぷりの変わったお城が、王家の人々にくつろぎと、非日常気分を与えるのにぴったりだったのかもしれませんね。

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お城の中もとても変な感じでした。
全てが普通よりも一回り小さく出来ているのです。
各部屋の大きさ、ベッドや椅子等の家具、トイレまで、あれ?子供用?と思うようなサイズなのです。
子供用と言っても小さい子供用ではなくて、中学生ぐらいのサイズ感です。
大人用にしては微妙に小さいな、、、という大きさです。
このサイズ感がさらにこのお城から現実感を奪っています。
本当はこれはディズニーの映画のセットか何かなんじゃないの?って、何度も感じました。

天井の高さも何だか低い宮殿内

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便器も少し小さめです。

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もちろん台所の道具もなんとなくおままごとっぽい大きさです。

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階段の手摺も、格調高いというよりはユニーク。

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置物4つで満員になってしまったサンルーム

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晴れてきたら遠くに海も見えました。
かなりの見晴らしの良さが有ります。

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photo by A. hasumi

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昔のポルトガル人は小柄だったのでしょうか?
リスボンで昔の建築物を見てもあまりそんな印象はなかったのですが、このペナ宮殿は私の五感を狂わせるような不思議さが一杯でした。

 

 


2カスカイス(Cascais)へ


こうして奇妙なお城を見学したあと、ちょうどお昼時でしたが私達にとっては「ポルトガル最後の昼ご飯」です。
「お城のカフェで軽食で済ませてしまうのは勿体無いよね」と意見も一致し、次の目的地、海辺の町Cascais目指してバスに乗りました。

余談ですが、このバスの運転手さんはすごかったです。
一気に山を下って海へ、バスはものすごい勢いでとばします。
バス停でバスを待っている人が居ると急ブレーキ急ハンドルで車を停留所に寄せます。
山を下りながらのこの運転はスリル満点で、流石のカメラマン蓮見氏もいつもの様にシャッターを切る回数も少なく、こころなしか強く手摺につかまっている様子でした。
私も勿論、目の前の手摺を握りしめていました。

さて、お腹を空かせた私達を乗せたバスは1時間程でCascaisの駅に到着しました。
ガイドブックには書いてありませんが、このCascaisの駅はユーラシア大陸最西端の鉄道駅です。
鉄道だけで大陸横断してこの駅に到着したら感動でしょうね!

山の上のSintraとはまた違って、海辺のゆったりとした街の雰囲気です。
小さい小さいカンヌという感じで、街にはおしゃれなカフェやレストランが道にテーブルを並べています。
警察等の建物も小さくて可愛い(あれ?ペナ宮と一緒ですね!)です。

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海の街らしい、カモメの飛ぶ空

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日差しを求める人達でいっぱいのビーチです(月曜日なんですが)

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海辺のレストランで良く冷えた緑のワインを飲みながら焼き魚にイカのフリットをつまみ、道行く人々を眺めます。

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街はとても静かです。
誰も急いでいる人は居ません。
人が多すぎる事も無く、バスの中も、レストランの席も、ビーチも、どこでも適度な密度で快適です。
イライラする事なんて一度も無いまま一日過ごせるんだろうなあ。

明日には忙しい国に帰らなければならないこの運命。
そう、これこそが「FADO」
サウダーデな午後でした。

ギイダ先生もおっしゃっていましたっけ、「ポルトガルの暮らしは(人生は)豊かです。あまりストレスは有りません」って、、、。
それを肌で感じる上質な時間。
ペナ宮殿で感じた「リラックス感」はこの国の気質なのかもしれません。

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次はいつ来る事ができるでしょうか。
ゆっくり昼食を楽しんでいるうちにポルトガル最後の午後は過ぎていきました。
帰りはあのユーラシア大陸最西端のCascais駅から海岸線に沿って走る電車でリスボンまで戻りました。

さあ、これからギイダ先生と待ち合わせの場所に行って、大事な大事な今回のレコーディングのデータを戴いてこなければ!
続きはまた次に書こうと思います。

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